仏サッカー選手、ファーウェイとの契約打ち切り ウイグル問題で
サッカーのフランス代表のスターで、スペイン・バルセロナ所属のアントワーヌ・グリーズマン選手(29)が、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)とのスポンサー契約を打ち切ると表明した。イスラム教徒のウイグル人に対する監視活動に、同社が関わっているとされたことを受けたもの。
2018年ワールドカップ優勝時のフランス代表のメンバーだったグリーズマン選手は、2017年からファーウェイの「ブランド大使」を務めている。同社のフランスでの広告に大々的に登場してきた。
ファーウェイをめぐっては、中国の警察がウイグル人を選び出すのに役立つ、顔認証ソフトウエアを試験したとする報告書を、米監視調査企業IPVMが10日に公表した。
IPVMは、ファーウェイが2018年に中国企業メグビーのソフトウエアを自社のビデオクラウドシステムで試験したとする、文書を入手したとしている。メグビーは、顔認証技術で知られている。
グリーズマン選手は、「ファーウェイが顔認識ソフトウエアを使った『ウイグル人警報』の開発に貢献したとの疑いが強まったことを受け、同社とのパートナー関係を直ちに打ち切る」と、インスタグラムに投稿した。
報告書の内容を否定
ファーウェイは報告書の内容を強く否定。グリーズマン選手の決断については、「悲しんでいる」とBBCに述べた。
同社広報担当者は、「(報告書に出てくる)文書で使われている表現」は「到底受け入れられない」とBBCに語った。
「ファーウェイの価値観に合致しない。私たちの技術は民族集団を識別するためのものではない。差別をしないことは、会社の価値観の中心となっている」
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グリーズマン選手の投稿については、ファーウェイの広報担当者は、「言うまでもなくファーウェイは、グリーズマン氏の関係解消の決断に悲しんでいる」とした。
「彼を招き、人権や平等、あらゆる差別の問題を訴えるために会社のトップレベルで現在行われている仕事について個人的に話をし、説明したい。ファーウェイはそうした問題を非常に深刻にとらえていることを、彼とすべての客、パートナーに改めて認識してもらいたい」
中国に対しては、少数派への対応をめぐって多くの批判が出ている。
中国政府は「再教育」の名の下、100万人にも及ぶウイグル人を新疆ウイグル自治区で拘束しているとみられている。政府は一貫して虐待を否定。テロリズムを根絶し、就職機会を増やすのが目的だとしている。
中国の外務省は米CNBCの取材に対する回答文書で、IPVMの報告書を「中傷」だとした。
他の選手も抗議
ウイグル人への対応をめぐって抗議を表明したサッカー選手は、グリーズマン選手だけではない。
元ドイツ代表で英アーセナル所属のメスト・エジル選手は今年、ウイグル人を「迫害に抵抗する闘士」と表現。中国政府と、虐待の訴えに対して沈黙している人たちを批判した。
中国政府は猛烈に反発。国営テレビは、アーセナルの試合の放送を取りやめた。サッカーのビデオゲーム「プロ・エボリューション・サッカー(PES)2020」の中国版からは、エジル選手が消された。
(英語記事 Football star severs ties with Huawei over Uighurs)
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