VRも快適に動作、ファーウェイが「Kirin 960」詳細を公開

次期フラッグシップモデルに搭載のチップセット

 ファーウェイは、同社のAndroidスマートフォンに搭載しているチップセットの最新の製品「Kirin 960」に関する情報を公開している。ファーウェイ・ジャパンからも、詳細が報道関係者向けに案内された。「Kirin 960」は今後発表されるフラッグシップスマートフォンに搭載されるとしている。

 ファーウェイはグローバル市場向けのTwitterアカウント「@HuaweiMobile」などで、11月3日(現地時間)にドイツで発表会を開催すると案内しており、ここで発表されるスマートフォンに「Kirin 960」が搭載されるとしている。

VRも快適に動作、ファーウェイが「Kirin 960」詳細を公開

 情報が公開されている「Kirin 960」は、現行のフラッグシップスマートフォン「P9」に搭載される「Kirin 955」の後継となるチップセット。16nm FinFET+プロセスで製造される。CPUコアは、ARMのCortex-A73と、コプロセッサにCortex-A53を搭載するbig.LITTLE構成で、オクタコア。GPUにはARMのMali G71を搭載する。ストレージとの接続ではUFS 2.1をサポートし、高速なデータの読み書きを可能にする。

GPU

 商用化されるのは初というGPUのMali G71は、オクタコア構成で、グラフィック性能は旧型の「Kirin 950」に搭載のものと比較して180%に増加。消費電力は20%削減した。グラフィックスAPIは「Vulkan 1.0」をサポート。VR性能は遅延速度18ms未満、2Kで90fpsをの描画が可能になっている。

モデム

 「Kirin 960」にはファーウェイ開発のモデム「Balong」が搭載され、LTEのCategory 12/13に対応、下り最大600Mbps、上り最大150Mbpsを実現する。下りでは4×4 MIMO、4波または2波を束ねるキャリアアグリゲーション、上りでは2波のキャリアアグリゲーションがサポートされる。

 周波数は330MHz~3.8GHzまで対応でき、GSMからUMTS、CDMA、TD-SCDMA、LTEまで、世界のすべてのセットワーク規格をサポートする。VoLTEに対応するほか、デュアルスロットのモデルでは、新たにセカンドスロットでも3G(W-CDMA)がサポートされる。

消費電力、カメラ、音質など

 コプロセッサの駆動で低消費電力での待機が可能なほか、GPSは消費電力を60%削減し、GPSを利用したARゲームなどはプレイ時間が2倍に拡大するとしている。

 カメラは、引き続きデュアルカメラをサポート。フォーカス技術では最適なオートフォーカスモードを自動的に選択する技術を採用している。ハードウェアの深度認識プロセッサにより、奥行きの認識をサポートしている。最大4倍の無段階ズームで、背景をボカしたポートレートモードを利用できる。

 オーディオDSPが統合されたチップ「Hi6403」を搭載し、通話でアクティブノイズキャンセル機能を利用可能。音楽再生では消費電力を33%削減。ハイレゾ音源もサポートし、32bit/192kHzまでの音源のほか、DSDフォーマットの再生もサポートする。

 セキュリティ技術では、ベースバンドプロセッサの技術を利用し擬似的な基地局をブロックする技術を採用しているほか、チップセット内に統合セキュアエレメントを搭載し、モバイル決済でも安全性を高めた利用が可能。決済関連の技術は、中国銀行など大手金融機関で承認されている。