初公開。東芝dynabook開発・製造の心臓部の全貌

 本誌読者にとって東芝のPCというとどのようなイメージがあるだろうか? おそらくほとんどの方は「dyanbook」の名前は知っているだろう。また、ノートブックの先駆けであることや、「KIRA」のようなビジュアル志向の製品、あるいはTVの「レグザ」を作っているメーカーという連想をする人もいるかもしれない。

初公開。東芝dynabook開発・製造の心臓部の全貌

 その東芝は、この4月にPC事業を担う社内カンパニーのパーソナル&クライアントソリューション社を、東芝クライアントソリューション株式会社へと会社分割。海外B2C市場から事実上の撤退を行なうなど、PC事業の縮小を行なった。このことによって「ついに東芝もPCを止めてしまうのか」と危惧する人もいるだろう。

 今回、記者は、東芝のPC製造拠点である「」(Toshiba Information Equipment Hangzhou:TIH)の生産ラインを取材する機会を得た。報道関係者に公開されるのはこれが初である。同社の所在地は、中国浙江省の杭州。ここでは、かねてから東芝のビジネス向けPCを中心に開発、製造してきたが、PC事業の分社化に伴い、このたびコンシューマ向けメインストリーム製品も受け持つこととなった。

 中国での生産は、数多くの企業が行なっているが、その多くの理由はコスト削減だろう。しかし、東芝が杭州に開発・製造拠点を構えたのには、目先のコスト削減とは別次元の狙いがある。TIHでは、杭州の地の利と、日本の品質、現地スタッフの創意工夫など、さまざまな要素を組み合わせた独自の生態系を築き上げていると言える。