差別に苦しむ北朝鮮のシングルマザー、子どもは予防接種から排除

北朝鮮は、建国の準備段階において男女平等に関する法令を制定、女性に対する教育を強化した。その後も、失敗に終わったものの「ごはん工場」に代表される施策に取り組み、家事労働からの解放を進めるなど、ジェンダー平等において非常に先進的と評価できる政策を打ち出している。

しかし、人々の意識も社会の認識も不平等なままで残され続けた。それが、結婚せずに子どもを生んだシングルマザーを苦しめている実態を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

差別に苦しむ北朝鮮のシングルマザー、子どもは予防接種から排除

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によると、先月25日に道内の各地域の病院で、生後1年以内の乳児と5年以内の幼児を対象に、ポリオ(小児麻痺)と結核の予防接種が行われた。

これは、ユニセフ(国際連合児童基金)からの支援によるものだ。ユニセフは2016年6月の報告書で、北朝鮮は3年以上ポリオが発生していないとして、ポリオ根絶国としつつも、予防事業は続けている。

北朝鮮の人々は、ユニセフのおかげで子どもたちが病気のリスクから脱することができたと認識し、予防接種のことを「国連注射」と呼んでいる。予防接種の知らせがあれば、母子が病院に殺到する。予防接種率は99%に達する。

一方、親が婚姻届を出さないままに生まれた子どもたちは、昨年に続いて今年も予防接種の対象から除外された。出生届が出されていないとの理由からだ。実は、婚姻届を出していない場合、出生届も受理してもらえないのだ。

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