米国がファーウェイを安全保障上の脅威に認定 FCCは、通信事業者に既存設備の交換も要求

アメリカ連邦通信委員会(FCC)は6月30日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の2社を「安全保障上の脅威」と正式に認定した。この決定により、アメリカの通信事業者は連邦政府が通信ネットワーク整備のために支給する年間83億ドル(約8950億円)の補助金を使って両社の製品を購入することができなくなった。

FCCはさらに、アメリカの通信事業者がすでに使用しているファーウェイおよびZTEの通信設備の完全な交換を求めている。「今回の決定は、アメリカの通信ネットワークをファーウェイとZTEの製品による新たな脅威から守るために役立つだろう。だが、我々はすでに導入済みの信頼できない設備を野放しにしてはならない」。FCC委員のジェフリー・スタークス氏は声明のなかでそう強調した。

こうした圧力に対してファーウェイは、「FCCが安全保障を口実にして特定の企業を排除するのは違法だ」とかねて主張している。同社によれば、アメリカ政府はファーウェイ製品のセキュリティ上の問題について証拠を示しておらず、制裁は中国政府が国内法の規定でファーウェイを意のままに操れるという誤った仮説に基づいているという。

米国がファーウェイを安全保障上の脅威に認定 FCCは、通信事業者に既存設備の交換も要求

半導体子会社ハイシリコンの縮小検討

もっとも、アメリカでは地方の小規模な通信事業者しかファーウェイとZTEの通信設備を使用しておらず、今回のFCCの決定が両社の業績に与える打撃は小さい。

むしろ深刻なのは、アメリカ商務省が5月15日に発動したファーウェイに対する追加制裁の影響だ。半導体の受託製造を行うファウンドリがファーウェイや子会社の海思半導体(ハイシリコン)の設計に基づく製品を生産する場合、その過程でアメリカ由来の技術やソフトウェアを使用する際にはアメリカ国外での生産を含めて商務省の許可が義務づけられた。

本記事は「財新」の提供記事です

この措置を受け、ファウンドリ世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)はファーウェイからの新規受注を停止した。ファーウェイは事業継続に不可欠な半導体を確保するため、台湾の半導体設計大手の聯発科技(メディアテック)や同じく中国の紫光展鋭(UNISOC)などからの調達を準備している。財新の取材に応じた複数の関係者によれば、ファーウェイはハイシリコンの設計部門の縮小を検討しており、社員の一部はすでに転職先を探し始めているという。

(財新記者:何書静)※原文の配信は7月1日

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